クリスマスの夜に
あぁ、困った、好きになってしまう。。。
12月25日、救世主キリストがこの世に産まれた日、子供達はサンタクロースのプレゼントに喜び恋人達は一緒に迎える朝にハニカミ、31歳の私は頭をかかえて1人うずくまる。
起きても枕元にプレゼントがないことは既に知っていた13歳、それでも私の明日は希望でいっぱいだった。
制服のスカート丈1センチにこだわって色付きのグロスを塗るだけで冒険で大好きな誰かを想う時世界はいつもピンク色だった。
到底手の届かない憧れの先輩の姿を遠くの廊下から目で追うしかできなかったあの時も
友達関係が壊れるのが怖くて気持ちを言い出せないと悩んだあの時も
体育祭の日、校舎裏で友達にひやかしと言う名の励ましを受けながら告白したあの時も
いつだって恋は幸せをもたらしてくれる物だと信じて疑わず シンデレラよろしく"そして2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし"って終わる物語りがどこかに用意されてるんだと思ってた。
恋愛のどこかにはゴール地点が設置されていて、そこにたどり着けば幸せに成れると思っててそこは果てしなく見渡す限りずーっとピンク色のキラキラで埋め尽くされてるんだと漠然と思ってた。
恋をすることの先にはいつだって希望があった。
雑巾掛けなんてしてなくても手はガサガサになるし、魔法をかけてあげましょうなんて言ってくるおばさんいたら全力で逃げた方がいいし12時過ぎてとけるのは厚化粧した顔面で王子様は靴片っぽ脱げたまま帰る女に恋はしない。現実はおとぎ話みたく上手くはいってくれない。
ドラマチックに結ばれてもそして2人はめでたさない。終わりじゃない、そこが物語りの始まりである。
つーか、そもそも自分の恋に国費使って国中女を探させる王子ってどうなん?
で、なんでシンデレラ断る選択肢考えてないん?出会って2回目でティファニーのネックレス持って告白してくる男ぐらい空気読めてなくない?
3年以内に
あなたの!そういう自分本位な所が耐えられないの!!もっと!私の立場に立って気持ちを考えてよ!!自分だけが正解じゃないのよ!!!
ってケンカするやーつ。絶対やる。
間違いなくやる。
そーゆのなるから!そーゆー価値観の相違っていうの?そーゆーのがのちのち大きなズレをうんでひずみになって大炎上だから、うん、そう言うのとかあぁ言うのとかお金とか身体とか本気とか色々確認しとかなきゃさ、なんか、さ、あの、あれ、、、
って始まる前に恋を終わらせるこじらせ章。
石橋を割れるまで叩いて「ほらやっぱり渡らなくてよかった」って、めんどくさい。
こんなんじゃ一生渡れないとはたと気付き一歩踏み出してみたところで
同棲?結婚?子供?親?
勇気を出して素敵な未来へ続く橋の向こう岸にいったつもりが見えない将来が漠然と広がり、戻れない恐怖と選べない不安と追い立てられるプレッシャーに潰される重すぎ考えすぎ章。めんどくさい。
じゃあもう本気とかやめてさ、気持ちとか心とか信頼とかそういう難しいのやめてさ、ってその場が楽しければいいじゃんの章。、、、そういうのが肌に合う人もいるのかもしれない、でも満たすつもりがどんどん乾いていく事を私はもう知っている。ただでさえ水分不足で保湿が手放せない歳なのでこれ以上の乾燥はご遠慮願いたい、ババアの乾燥はシワのもと、乾燥は怖い。この章はスキップ。めんどくさい。
終わらない。。。。
おーわーらーなーいー!!!!!!!
あれから13年、ピンク色のゴール地点は何処!?
イケメンがいい!お金ももっててケチじゃなくて仕事もしっかりしてて高身長で、ドキドキできなきゃ無理。未だ王子様を探し続けるあの子も終わってない。
バツイチ子持ちを引き受けてけくれた素敵な彼と結婚してゴールに見えたあの子も結婚生活数年、浮気事件を乗り越えたかと思えば旦那まさかの教育費使い込みで夫婦関係破綻?どうなるどうなるなあの子もまだ終わってない。
同棲も早数年、「男って言うかそういうのじゃなくてもはや犬みたい。でも安心するよ♪」熟年夫婦みたいな事言うあの子、形はどうあれピンク色がずーっと続くゴール地点かと思いきや「結婚を考えると悩む、けど結婚しないのもそれなりに悩む」らしいのでやっぱりまだまだ終われない。
ページをめくれどめくれど、
あいつもそいつもどいつもこいつも終われない。。。。
"そして2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ"
のめでたしめでたし(終)は!?
何かしらある、どんなに平和そうに見えてもみんな、みーーーーんな何かしらある。いつまでも幸せに暮らせるハッピリーエバーアフターエンドはどこよ!?!?
ない。
知ってた。
薄々勘付いてた。
いつまでも永遠に続く続く幸せなんてない。
ゴールなんて用意されていない。
見渡す限りピンク色のキラキラゴール地点どころかむしろ9割灰色の砂利道or崖。
失恋はつらい。
いくつになっても何回経験しても鮮度よくつらい。マジ卍 とか思わず急に言いたくなる。
そんなリスクを背負ってなおそれでもなお恋をするのが楽しいと思えたのは好きな人と両思いになったら幸せが続くと思えたから、希望があったから。
が、しかし、現実には永遠に続く幸せなんてない。どんな状況にいても相手が誰でも他人同士が寄り添ってい続ける為にはなにかしらなんかある(らしい)。永遠に次の章へ続く。めんどくさい通り越して勘弁して欲しい。
こうなってくるともう恋をするのはただただリスクの高い賭けなだけ。
ただでさえババアは傷の治りが遅いっていうのに、それなのに、、
スマホが鳴るたび飛びついて
アプリの通知でプチ切れる
嫌だ、めんどくさいのも傷つくのもごめんだ、嫌だ嫌だと言いながら自ら早くもピンクのキラキラならぬ灰色の砂利道に片足突っ込んでる
あぁ、困った、好きだなぁ。。。
クリスマスの夜、31歳の私は恋に落ちて頭を抱える。