冷えピタとヤケたばこー親への挨拶という落とし穴 前編
38.6分。頭に冷えピタをつけたままタバコに火をつける。ひとくちで気分が悪くなり吐き気でトイレに駆け込む。
時計はもう午前の2時をまわっている。
一体何をやっているんだろう私は。
彼氏とケンカをした。
多分こじれるだろうなと思いながらそうならない事を祈り電話で話し合いをして(熱が出てたから)、途中別れ話が持ち上がり結果保留のまま電話を切った。
ケンカの原因は些細な事だった。
些細な事だけれど、私の仏の顔スタンプは既に3度使いきっていて注意勧告も再三していた事だった為ついに大噴火を起こしおおごとになってしまった。
一度噴火してしまうと次々に誘爆がはじまり、今まで気にもならなかった小さな事もきっかけにあちらこちらで大炎上大会。
勝手に膨れ上がる怒りと、抑えろという理性と、もうどうにでとなれという投げやりさとの間でてんやわんやしてる私に対し彼は見事なまでの静観を決め込みそれがまた私をイラつかせた。
原因の火種が遠くて安全な場所から黙って見てるだけってどういう事なのか。
私は、私よりアタフタして必死になって水を撒き消化活動(主に私をなだめる事)に励む彼の姿が見たかった。
彼の方から謝り、許しを乞い、こんがらがった私の気持ちに落とし所を差し出して欲しかった。それがワガママだと分かっていてもこんなに私を怒らせ傷つけたんだからそれぐらいしてくれたっていいだろうと。
しかしそんな私の気持ちとは裏腹に
「何度も同じ事繰り返してこんなに君を傷つけ怒らせたのに今後改善できるなんて言えないまま自分から許しを乞う立場でもない」
と言うのが大まかな彼の言い分だった。
え???
じゃあどうするの???
予想外の冷や水。
あんなにグツグツいってたマグマは一気に鎮火した。
色々思うところはあったが彼の言い分にも彼なりの正当性はあってそれはもうごもっともでだからこそどうしようもなかった
その後、じゃああなた変われないし私も今は落とし所見つけられないなら今後どうするのかを話し合うことになったのだけれど私はその間中ずっとヘラヘラしていた。赤ちゃんが高い高いで笑うのはおかしいからじゃなく恐怖を紛らわす為というが、あの類のヘラヘラだった。さっきまであんなにドスきいて偉そうに喋ってた相手が急にトーンを変えてヘラヘラしてたら怖いだろうな、ごめんねと思いながらヘラヘラしていた。
結局その後結論は出ず保留のまま話し合いは終わり私は高熱にも関わらずヤケでタバコを吸い午前2時に1人トイレで吐いては半泣きになるという愚行に至る。
38.2分。少しぼーっとした頭でなんでこんな事になったのか考えた。実は少し前にも今までになかったような激しいケンカをして仲直りしたばかりだった。今まで小競り合いはあれどお互い尊重し合って思いやりわりかし穏やかにやってきていたはずだった。
思えば彼は去年末、私は今年の初めにお互いの親に挨拶をしていた。
今までなんとなく話してた結婚やその先の将来の事がグッと現実的になり重みを増し、簡単には別れちゃいけない責任というかずっと寄り添う事が前提の2人になった。
これが落とし穴だったのかもしれない。